n8n v2.0でAIエージェント開発はどう変わる?MCP対応・アーキテクチャ刷新の全貌を解説
- 峻 福地
- 2 日前
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更新日:2 日前

本記事では「n8n v2.0へのメジャーアップデートで何が変わり、エンジニアやDX担当者はどう備えるべきか」を、リリース直前の最新情報(RC版・コミットログ)に基づいて解説します。結論から言うと、2025年12月8日リリース予定の n8n v2.0 は、「便利な自動化ツール」から「AIエージェントを前提とした本格的なオーケストレーション基盤」へと進化します。
特に、MCP(Model Context Protocol)への対応や、Python環境のネイティブ化は、実務で使える「賢いAIエージェント」を作りたい企業にとって決定的なアップデートです。
日本におけるn8n導入実績ナンバーワンの株式会社homulaでは、このn8n v2.0の機能を最大限に活かしたAIエージェント開発や、日本企業の環境に合わせたセルフホスト導入を支援しています。
1. n8n v2.0 アップデート 全体像:3つの進化ポイント
これまでのn8n(v1.x系)とv2.0の決定的な違いは、「AIエージェントを動かすためのインフラ」として再設計された点にあります。変更点は大きく以下の3つに集約されます。
Agentic AI Scalability(自律型AIの拡張性)
マルチエージェント機能の強化、MCP対応、LLMの動的切り替え。
Security by Default(デフォルトでの安全性)
タスクランナーによるプロセス分離、危険な設定の排除。
Developer Experience(開発者体験の向上)
オートセーブ機能、キャンバスの高速化、Git連携の強化。
2. AIエンジニアが注目すべき「v2.0の新機能」
ここでは、AIエージェントを開発する上で特に強力な武器となる新機能を解説します。
2-1. 「エージェントがエージェントを呼ぶ」が可能に

これまでは1つのエージェントですべてを処理しようとすると、プロンプトやツール定義が複雑になりがちでした。 v2.0で導入される AI Agent Tool ノード を使うと、親エージェントが「別のエージェント(特定のタスクに特化したサブエージェント)」をツールとして呼び出せるようになります。
これにより、「調査役」「分析役」「文章作成役」といった専門エージェントを組み合わせたマルチエージェントシステムを、一つのワークフロー内でノーコードで構築可能です。
2-2. Model SelectorによるLLMの使い分け
Model Selector ノード の登場により、GPT5.1、Claude 4.5 Sonnet、Gemini 3 Pro など複数のモデルを接続し、条件に応じて動的に切り替えることが可能になります。
簡単なタスクは高速・安価なモデルで処理
複雑な推論が必要な場合のみ高性能モデルを使用
メインのモデルがエラーになったら別モデルへフォールバック(自動切り替え)
といったロジックが簡単に組めるため、コストと精度のバランス最適化が容易になります。
2-3. MCP(Model Context Protocol)ネイティブ対応

v2.0の目玉の一つが、AIと外部ツールをつなぐ標準プロトコル「MCP」への対応です。
MCP Server Trigger: 外部のAIツール(Claude Desktopなど)から、n8nのワークフローを呼び出す。
MCP Client Tool: n8nのエージェントから、外部のMCPサーバー(データソースや機能)を呼び出す。
これにより、n8nを「AIエージェントのバックエンドエンジン」として使う構成が非常に組みやすくなります。
3. インフラ・基盤としての「信頼性向上」
企業で運用する際に課題だった安定性やセキュリティも、v2.0で大きく改善されます。
3-1. オートセーブとドラフト機能
待望のオートセーブ機能が実装されます。編集中の内容は「ドラフト」として保存され、明示的にデプロイするまで本番フローには影響しません。これで「保存し忘れて消えた」や「編集中のバグが即本番に反映された」という事故を防げます。
3-2. プロセス分離とNative Python
アーキテクチャ面での最大の変更は、タスクランナーの強制適用です。 JavaScriptやPythonの実行がメインプロセスから分離されるため、重い処理が走ってもn8n全体がダウンするリスクが激減します。
また、ブラウザベースのPython環境(Pyodide)が廃止され、サーバー上のネイティブPython環境を利用する形に統一されます。これにより、PandasやNumPyなどのライブラリを制限なく、かつ高速に利用できるようになります。
3-3. セキュリティの厳格化
環境変数アクセスのブロック: Codeノードから process.env への直接アクセスがデフォルトで禁止され、Credential機能の利用が必須になります。
DBの集約: システムDBとしてのMySQL/MariaDBサポートが廃止され、PostgreSQLへの移行が必須となります。
4. AIエージェント視点で見る「n8n v2.0 で何ができるか」
4-1. 典型ユースケース
例えば、こんなAIエージェントを n8n v2.0 で組むイメージです。
営業インバウンド対応エージェント
Chat Trigger で Teams / Slack / Webフォームからの問い合わせを受信
AI Agent → Outlook で返信ドラフト作成
Salesforce / HubSpot への案件登録・活動ログ更新
Box / SharePoint から提案書テンプレを検索し、ドラフトに差し込み
バックオフィス向け請求書チェックエージェント
メール添付PDFをトリガーに
RAGテンプレ+ベクタDBで社内ルールを参照
SAP / 会計システムへの登録案を作成し、人間の最終承認待ち
ITヘルプデスクボット
Chat Triggerからの問い合わせをAIが分類
Jira / ServiceNow でのチケット起票
社内ナレッジベース(Confluence / Notion)からの回答候補提示
これらはすべて、n8n上のAI Agent+各種SaaSノード+MCP対応ツールの組み合わせで構築できます。
4-2. LangChain / LangGraph との棲み分け
コードベースでガッツリ作るなら LangChain / LangGraph / AutoGen に分がありますが、
「まずは可視化しながらPoCしたい」
「業務部門メンバーもフローを追える状態にしたい」
「Gitだけでなく、GUIで差分をレビューしたい」
といった日本企業の現場では、n8n v2.0 を“AIエージェント+業務SaaSの接着剤”として使い、裏側の高度なロジックは必要に応じてLangGraph等に寄せるという分担が現実的です。
5. n8n v2.0の導入・開発はhomulaにお任せください
homulaでは、n8n v2.0の新機能を活用したAIエージェント開発から、エンタープライズ環境へのセキュアな導入までを一貫して支援しています。
homulaができること
n8n v2.0 環境構築・移行支援
日本企業のセキュリティ要件に合わせた、AWS/Azure/Google Cloud上でのセルフホスト環境構築。
v1系からのデータベース移行や、Python実行環境の整備。
高度なAIエージェント開発
v2.0の「マルチエージェント機能」や「Model Selector」を駆使した、複雑な業務フローの自動化。
RAG(検索拡張生成)やHuman-in-the-loop(人の承認を含めたフロー)の実装。
ガバナンス強化(Agens活用)
「エージェントが増えすぎて管理できない」「誰が何をしたかログを残したい」という場合には、homulaが提供するガバナンスツール Agens を組み合わせた提案も可能です。
Agensは、n8nと社内システムの間に立ち、認証・権限管理・監査ログを一元化する「MCPハブ」として機能し、安全な全社展開をサポートします。
まとめ
n8n v2.0は、AIエージェントを「実験」から「実務」へ引き上げるための強力なプラットフォームです。 「v2.0の新機能を試したい」「自社の業務に合わせたAIエージェントを作ってほしい」という方は、ぜひhomulaまでお気軽にご相談ください。



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