Difyとn8nの違いを徹底解説!AIワークフローツール比較ガイド【2025最新版】
- 峻 福地
- Jun 20
- 6 min read

AI技術の進歩とともに、業務の自動化や効率化を実現するワークフローツールへの注目が高まっています。その中でも特に注目を集めているのが「Dify」と「n8n」です。一見似たようなツールに見えますが、実は設計思想や得意分野が大きく異なります。
2025年現在、日本のAIワークフロー市場では「dify」が先行して導入されていますが、グローバル市場ではn8nが圧倒的な成長を見せています。最新データによると、n8nの月間訪問者数は750万人に達し、difyの180万人を大きく上回っています。

そこでこの記事では、AIワークフローツールの導入を検討している方に向けて、DifyとN8nの違いを詳しく解説します。それぞれの特徴を理解することで、自社の課題や目的に最適なツールを選択できるようになるでしょう。
dify/n8nの概要
Dify | n8n | |
製品カテゴリ | AI/LLMアプリケーション開発プラットフォーム | AIワークフロー自動化プラットフォーム |
オープンソース | Apache License 2.0 with commercial licensing | Sustainable Use License(Fair-code) |
GitHub Stars | 104,000+ stars | 108,000+ |
リリース年 | 2023年 | 2019年 |
本社 | Delaware, USA (LangGenius, Inc.) *創業者や株主は中国系が中心である点に留意 | ドイツ(ベルリン) |
日本展開 | AWS Summit Japan 2025スポンサー他日本での認知度は高い | グローバルに展開しており、日本国内でも2025年春より注目度が高まる |
カテゴリとしては、Difyは元々生成AIノーコードアプリケーション、n8nはiPaaSとして生まれたものの、昨今、Difyの各サービスへの接続の発展や、n8nの生成AIへの適用が進み、両者は急速に接近してきておりますが、機能面で特徴は異なる点が多いのが現状です。
n8n/Dify基本コンセプトとアーキテクチャ
両社の得意分野を簡潔にまとめると、「チャットやRAGなどの対話型AIアプリ」が得意なDify、「業務自動化などのワークフロー型AIエージェント」が得意なn8nという違いがあります。
Dify: LLM(大規模言語モデル)を中心としたAIアプリケーション開発に特化したプラットフォームです。特にチャットボット型アプリケーションやRAGシステムの構築において強みを発揮します。
得意分野:
チャット型AIアプリケーション:対話型インターフェースを持つAIアシスタント
RAGシステム:企業文書や知識ベースを活用した情報検索・回答生成
コンテンツ生成アプリ:テキスト生成、要約、翻訳などの言語処理タスク
Q&Aシステム:FAQや社内ナレッジベースと連携した自動応答システム
ユースケース例:
インテリジェントなチャットボット開発
ドキュメントQ&Aシステム構築
RAG(Retrieval-Augmented Generation)パイプライン実装
企業内ナレッジベースと連携したAIアシスタント
カスタマーサポート用対話型AI
n8n: 汎用的なAIワークフロー/プロセス自動化を目的としたプラットフォームです。特にワークフロー型AIエージェントの構築に強みを持っています。「ノード」と呼ばれる部品をつなぎ合わせることで、様々なWebサービス、データベース、APIを連携させ、複雑な業務プロセス全体を自動化することが可能です。
得意分野:
ワークフロー型AIエージェント:複数のシステムを連携し、段階的なタスクを自動実行するAIエージェント
業務プロセス自動化:メール処理、データ変換、システム間連携を含む複合的な自動化
トリガーベースの自動化:イベント発生時の自動対応やスケジュール実行
マルチステップ処理:複数のアプリケーションやサービスを横断する複雑な処理フロー
ユースケース例:
IT業務の自動化とシステム統合
データ同期・ETL処理
通知・レポート作成の自動化
複数システム間のデータ連携
購買業務やサプライチェーン管理の自動化
メール連携を含む承認ワークフロー
difyがチャットベースのアプリケーションが得意な一方で、n8nは以下のように豊富なトリガーを標準装備した上で、Javascriptベースのカスタムコードで様々なシナリオに対応できます。

使い分けの基準
それぞれのツールが得意とする分野を理解することで、適切な選択ができます。
Difyが得意:チャット型・RAG型AIアプリケーション
ユーザーとの対話が中心となるアプリケーション
文書検索・知識ベース活用によるQ&Aシステム
自然言語処理を活用したコンテンツ生成
AIとの直接的なやり取りが主要な機能
n8nが得意:ワークフロー型AIエージェント
複数システムを連携した段階的なタスク実行
業務プロセス全体の自動化
イベント駆動型の自動処理
バックエンドでの複雑な処理フロー
まとめると、「チャットやRAGなどの対話型AIアプリ」を作るならDify、「業務自動化などのワークフロー型AIエージェント」を構築するならn8nが適しています。
セキュリティ
セルフホストとして使用する場合セキュリティ面では大きな差はありませんが、SaaSとして使った場合のデータ所在地の違いがあります。n8nはドイツの企業であり、SaaS版の場合はデータもEU内への保管となります。
Dify | n8n | |
オンプレミス | 対応(Docker/K8s) | 対応(Docker/K8s) |
エアギャップ | 対応 | 対応 |
SSO/SAML | 対応(Enterprise) | 対応(Enterprise) |
LDAP | 対応(Enterprise) | 対応(Enterprise) |
監査ログ | 対応(Enterprise) | 対応(Enterprise) |
RBAC | 対応 | 対応 |
認証 | SOC 2/ISO 27001:2022 | EU規制準拠 |
データ所在地(SaaS利用の場合) | 米国(AWS) | EU(ドイツ) |
価格
両製品とも、クラウドサービスとセルフホスティングの両方のオプションを提供しています。価格体系は、Difyが主にAPI呼出回数とユーザー数に基づく従量制を採用しているのに対し、n8nはワークフロー実行数に基づく定額制を基本としています。
Dify | n8n | |
無料プラン | - SaaS: 無料で試用可能も、200API呼出以降は有料 - セルフホスト(community版): 無料 | - SaaS: 14日間のフリートライアル - セルフホスト(community版):無料 |
有料開始価格 | SaaS: $59/月(月契約) | SaaS: €24/月(月契約) |
Pro価格 | SaaS: $159/月(月契約) | SaaS: €60/月(月契約) |
Enterprise | セルフホスト:カスタム見積 | セルフホスト/SaaS共にカスタム見積 |
課金単位 | API呼出/ユーザー | ワークフロー実行数 |
エンタープライズ向け機能
両製品は、エンタープライズ向けの機能においても充実した対応を提供しております。特に、n8nは大規模組織での運用に必要なマルチテナント、環境分離、専用サポートなどの機能を備えていおります。
Dify | n8n | |
マルチテナント | 対応 | 対応 |
Git連携 | - | GitOps対応 |
環境分離 | - | 対応 (Dev/Staging/Prod) |
ブランディング(ホワイトラベリング) | 対応(Premium以上) | 制限あり |
専用サポート | 対応(Enterprise) | 対応(Enterprise) |
SLA | 対応(Enterprise) | 対応(Enterprise) |
日本語サポート | 英語中心 | 英語中心 |
※ブランディング(ホワイトラベリング)とは外観をカスタマイズする機能
まとめ
DifyとN8nは、どちらも優秀なワークフロー自動化ツールですが、AIエージェントの種類において明確な得意分野があります。
Difyは、チャット型アプリケーションやRAGシステムの構築に特化しており、対話型AIや知識ベース活用のアプリケーション開発において圧倒的な優位性を持ちます。プロンプトエンジニアリングからRAGシステム構築まで、対話型AI開発に必要な機能がオールインワンで揃っているのが最大の魅力です。
N8nは、ワークフロー型AIエージェントの構築において優れた能力を発揮します。複数システムの連携、業務プロセス全体の自動化、イベント駆動型の処理など、複雑な業務フローを自動化する際の柔軟性と実績は業界トップクラスです。
AIエージェントの種類別選択指針:
チャット型・対話型AI → Dify
RAGシステム・知識検索 → Dify
ワークフロー型AIエージェント → N8n
業務プロセス自動化 → N8n
どちらのツールも無料版が提供されているため、実際に試用してみることが最も確実な判断方法です。また、要件が複雑な場合は、両ツールの併用も検討する価値があるでしょう。
AIと自動化の技術は急速に進歩しているため、定期的に最新情報をチェックし、プロジェクトの成長に合わせてツール選択を見直すことも重要です。適切なツール選択により、業務効率化とイノベーションの実現を目指しましょう。



Comments